そこは彼となし

日記のようなもの

手帳に父への手紙とも言わない手紙を書いた。

ああ、やっておけばよかっただろうかと思い始めると色々なことがそうなってしまうので、もういいのだ。
父は父の季節に死んだ。

しかしながら、生きることに否定的であったことを、改めなくてはいけないと思った。

大切なのは生きていることであった。それが何よりも大切なことであった。

生きていることが不思議である。今もそうだ。
死んでいる事の方が当たり前なように思えている。だからこそであった。だからこそ生きていることが大切であった。

父は死んで、そして私は生きている。
生きているのだなあ、と感じた。

精一杯生きなければならない。
私は私のために生きなければいけない。

父は父の生を存分に楽しめましたか。
それならよいのです。

父が母に残してくれたものを、形ないものまでしっかり言葉にしよう。母は下手なので。

弟はまだ少し幼い。心がだめになりそうな時は私ができる限りを尽くそう。

私は生きようと思う。
父の季節で死んだように、私も私の季節が来るまで精一杯生きよう。

それが生んでもらったせめてもの恩返しだろう。